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How to Eat Fried Worms ミミズ・フライの食べ方

アメリカ映画 (2006)

撮影時10才のルーク・ベンワード(Luke Benward)の初主演作。日本でも、同名のタイトルで翻訳本が出ているが、なぜか日本公開は行われずDVDも発売されなかった。ミミズがいっぱい出てくるせいか? IMBbやRottenTomatoesでの評価は高くないが、見ていて実に楽しい作品である。

仲のいい友達に恵まれた小学校からパパの転勤で嫌々転校してきたビリーは、ひょんなことから、ガキ大将のジョーにミミズを10回食べて見せると言ってしまい、失敗したらパンツにミミズをいっぱい入れて学校を歩く、という賭けをさせられる。ミミズ10匹を1日で、しかも太陽の出ている間に食べなくてはならない。かくして、気持ち悪く調理されたミミズを次々と食べさせられるビリー。こんな風に書いてくると、陰湿なイジメ映画のように受け取られかねないが、コミカルで楽しい人間成長のドラマである。そもそも、ビリーには虐められているという自覚はあまりない。すごくカラッとして、前向きな性格なのだ。だから、ミミズを一匹制覇するごとに、ビリーとジョーの力関係は逆転していく。そして、10匹食べたと思い込んでいたことに気付いた時(実は9匹)、ビリーはジョーに対してフェアな提案をする。ミミズが大嫌いでなければ見て損のない映画だ。

ルーク・ベンワードは、この映画の中で、百面相を見せる。喜び、驚き、不安、嘆き、そのどれをとっても、実に可愛くて絵になる。こんな子役も珍しい。性格も、善良で明るく、嫌味の全くないところが素敵である。


あらすじ

転校する前のビリーは、誰にも好かれる性格から、クラスの人気者だった。気に入らない長旅、気に入らない新しい家の自分の部屋、そんな中で唯一心の和むものは、「寂しいよビリー」と書かれたクラス全員の写真付きのプレゼントだった。
  

おっかなびっくり新しい学校に来たビリーは、ガキ大将のジョーのグループに、登校時から目をつけられる。クラスの場所が分からなくて、みんなから敬遠されている長身の女の子に連れて行ってもらい、ますます冷やかされる。歓迎ムードとはほど遠い状況に、廊下の持ち物入れに頭を突っ込んで「中に入りたくないよ」とこぼすビリー。顔を出したところで、怖そうな校長に頭をつかまれ、そのままクラスへ。後から来た悪ガキが、持ち物入れからビリーの荷物を取り出してニヤリとする。校長は、ビリーの頭をつかんだまま、「黒板に名前を書きなさい」とのたまう。そして、ビリーの名前(Forrester)を見て、「フォレスター君だ。rが2つの」と紹介する。それを聞いたビリーは、うっかり「3つ」と口をはさむ。「何だって?」。「rは3つです」。実際、Forrester にrは3つあるが、普通は、ForesterかForresterかを区別するためrが2つという言い方をする。ビリーの口出しは墓穴を掘った感じの失敗。
  
  

初めてのランチ。一人離れてテーブルに座るビリー。なぜかジロジロ見られている。スープをコップに入れようと傾けると、ミミズの固まりがドサっと落ちてきた。実はさっきの悪ガキが仕込んでおいたのだ。笑う悪ガキ連と、悲鳴を上げる女の子たち。ガキ大将のジョーが、「それ、お前のランチだろ?  ミミズを食うのか?」とあざける。ここから先が普通の子と違うところだ。ビリーは、「ああ、いつも食べてるさ。君も試すかい?」「さあ、どうぞ」と、1匹つまんでジョーの顔めがけて投げつける。ミミズが顔にはり付ついて、「誰か、こいつを 取ってくれ!」と叫び、みんなの前で恥をかいたジョー。復讐は怖い。
  
  
  

明くる日、学校で、悪ガキ連に「ミミズ小僧」と、はやし立てられるビリー。帰宅する自転車にも、しつこく「ミミズ小僧」と連呼して離れない。キレたビリーは、自転車を止めると、「君ら、みんなバカだ! 勝手に、ミミズ小僧って言うがいい。気にしないからな!」「ミミズは、不味くなんかない。僕の朝食は、ミミズの砂糖とミルク掛けさ」「茹でミミズや、焼きミミズも、イケる」「一番のお気に入りは、ミミズ・フライだ」「ぬるぬる、ねばねばした奴ほどいい」と言ってしまう。「お前には1匹でも無理だ」「舌にさわった瞬間、吐くに決まってら」とジョー。「賭けてみるか?」とビリー。「臭いだけで吐くくせに、四分の一だって無理だ」。「1匹なんかじゃないジョー、10匹だ!」と両手を広げるビリー。さらに、「お前こそ、食べてるのを見るだけで吐いちまう」と煽る。後先考えない舌戦だ。ジョーは、「よし、賭ける」。ビリーは、急に現実に引き戻され、「僕が、10匹食べるって?」と恐る恐る訊く。「そうだ。俺はお前が逃げ出す方に」とジョー。「もし、僕が勝ったら?」とビリー。結局、負けた方が、パンツにごっそりミミズを入れて、全生徒の前で歩いて恥をかくことに決まってしまう。しかも、1日で10匹を、週末(土曜日)に食べなくてはならない。
  
  

次の日、ビリーは学校の帰りに、偶然、長身の女の子に会う。アーチェリーの名手だ。「僕、ここから出てくんだ」と打ち明けるビリー。「もう引っ越すの?」。「違う、僕だけ」。それって、ジョーの顔にミミズを投げつけたから?」。「僕って、バカだった!」。少女の答えは意外にも、「爽快だったわ」。「あれが爽快?」。「ええ、最高」。彼女は、賭けのことも知っていた。「僕の胃は、すごく弱いんだ。食べれないモノが一杯ある」。「どうして、バカげた賭けなんかしたの?」。「分からないんだ。フツーの生徒になりたかっただけ」。「普通の人は、ミミズなんか食べないわ」。彼女の抱いた好意と、アーチェリーの腕は、最後の最後になって役に立つことになる。
  
  

そして、土曜日。悪ガキ連の中のフランス系の少年が料理役だ。1匹目は、ラードでソテーしたミミズ。「豚の脂肪なんて、話が違う」とビリー。「一番のお気に入りは、ミミズ・フライなんだろ」「“ぬるぬる、ねばねばした奴ほどいい”って言ったろ」とジョー。料理の名前はフランス風に「ぬるりんミミーズ」。生まれて初めてのゲテモノを、ためらいながら、必死で口に入れるビリー。ビリーの表情もスリリングだが、気持ち悪がって見ている悪ガキ連のリアクションも面白い。それでも、ビリーは何とか呑み込んだ。
  

2匹目は、悪ガキ連のメンバーの伯父さんのレストラン。甥がキッチンでこっそりミミズ入りオムレツを作る。完成間際に焦がして煙が出てしまい、伯父さんが飛んで来る。そして、オムレツを仕上げて店に出してしまった。運んでいった先は、例の怖い校長。慌てて逃げようとするビリーと悪ガキ連に、「お前たち、何か悪戯でもやってないよな?」と疑わしげに訊く。そして、ミミズ入りオムイツを目の前で口に運び、食べて一瞬口を止める。真っ青の生徒達。しかし、校長は、「旨いオムレツだ」と言って食べてしまい、みんなでレストランを飛び出すと、大笑い。
  

3・4匹目は、甥っ子が、オムレツの後で作った肝臓のエキス漬けミミズ。2匹分を揚げてあるので、べっとりゴロンとしている。ビリーは、黒いエキスが顔にかかるのもかまわず、箱からそのまま口に入れて、一気に飲み込む。
  

5匹目は、悪ガキ連の1人の家の台所を、めちゃめちゃにして使った「灼熱ミミーズ」。ルイジアナ極辛ソースをはじめ、ミミズが真っ赤になるほどの凄い料理だ。そばに寄っただけで強烈な臭いに圧倒されるビリー。「こいつ、臭いだけで参ってら」。ミミズが舌に触れただけで、「辛い、辛い、辛い!  焼けついちゃう!」と逃げるビリー。「ミミズ小僧、丸ごと食べろ」と顔を押さえられ、口に突っ込まれる。「吐きそう」とビリー。それでも一気に口に入れる。辛さで顔が真っ赤になり、外に飛び出て「水!」と叫ぶ。こんなに頑張るビリーを見て、3人が悪ガキ連を抜けてビリー側に付く。「頭が 吹き飛ぶトコだった」と言いつつ水をごくごく飲むビリー。
  

6匹目は、使える台所がなくなったので、レンズを通した太陽熱で焼いたミミズに、潰したマシュマロとマグロのソースをかけた「マシュ・ミミーズ」。「食べてみせる」と宣言し、ごくっと呑み込み、ニコッとするビリー。「やった!  ミミズ小僧だぞ!」と叫び、「僕の胃は鋼鉄製だ」とお腹を叩いてみせる。大はしゃぎだ。
  
  

7匹目は、生のミミズを麺棒で潰し、ピーナッツ・バターと混ぜた「ピーナッツ・バターと、ミミズ・ジャムのサンドイッチ」。これは難なく押し込む。この後、一旦家に帰って夕食となり、ミミズを思わせる中華麺を山ほど出されてうんざり。しかも、満腹になってしまう。
  

8匹目は、暗くなりかけてから。ミミズが足りなくなったので、河原の釣エサ店へ。売ってる老婆が怖いので、ボートで出かけたすきに店内へ。そこで、緑ミミズを発見。ホウレンソウとブロッコリと一緒にミキサーにかけ「ドロドロ緑ミミーズ」の出来上がり。ビリーは平気で平らげる。
  

9匹目は、夜行性ミミズを電子レンジに入れ、爆発させたもの。ガラス扉にこびりついた残骸をヘラでかきとって食べる。ここで、老婆が急に戻り、全員必死で逃げ出す。
  

最後の10匹目。あちこち掘っても、ミミズがいない。賭けの時間は19時まで。今は、18時52分。「時間切れだな、ミミズ小僧」。そして、「あと2分だ」。ビリーのグループがあきらめかけた時、先端にミミズを縛りつけた矢が、木の幹にささる。アーチェリーの女の子からのプレゼントだ。ミミズを取らせまいとビリーともみ合いになるジョー。結局、矢ごと奪って川に放り込む。これには悪ガキ連に残っていた仲間も怒った。「フェアじゃない」「インチキだ」「行けよ、ビリー」「39秒だ」。ビリーは川に飛び込み、矢をつかんで岸へ。みんなが大声援を送る。残りの10秒のカウントが始まり、あと8秒でミミズを口に入れ、ビリーは賭けの勝利者となる。
  
  

しかし、あくる朝、ビリーは食べたミミズが9匹だったことに気付く。2匹目を校長が食べてしまったことを思い出したのだ。食堂で悩んでいるビリーに、父が声をかける。「2週目だな」。「うん。先週の月曜が遥か昔のことみたいだ」。「1週目の“見出し”は?」。「インチキ」。「インチキ?」。「うん」。そして、ビリーはこう切り出す。「もしインチキして勝って、誰も気づかなかったら、勝ったことになる?」。「フェアにやってこそ、勝ったことになる」と父。「自分でも、インチキだと知らなかったら?」。「答えは、もう分かってるんだろビリー」。ビリーは迷いがふっきれてニッコリする。
  
  

学校で、ジョーに正直に打ち明けるビリー。「勝ってなかった」。「勝ったじゃないかビリー。10匹食べたろ」。「9匹だったんだ」。「ちゃんと数えたじゃないか」。「10匹目は校長が食べた」。「オムレツか?」。「僕たち、どうしよう?」。結局、2人とも負けたことにして、ミミズを半分ずつパンツに入れ、生徒達の待っている廊下に出て行く。2人ともミミズを入れて現われたことにみんなびっくりしたが、仲のいいビリーとジョーに大喝采。
  
  
  

エンド・クレジットに流れる歌が、とっても楽しいので歌詞を紹介しよう。

 太って ジューシー、噛みつぶす
 おいしそう
 遠慮はやめて、カップ一杯
 おいしそう
 ぬるぬる、臭くて、緑や茶色
 おいしそう
 フライでぐちゃぐちゃ、ひと呑みさ
 おいしそう
 よく噛んで、食道に入ったら
 体の中では、魚と同じさ

 長い奴を、顔の上でブ~ラブラ
 おいしそう
 目には、入れるなよ
 おいしそう
 ブラブラさせて、臭いをかごう
 おいしそう
 お腹に、詰め込んでやろう
 おいしそう
 ぎゅっと握ると、ポンとはじける
 一度やったら、やめられない

 絡んだ奴らが、もだえてる
 おいしそう
 ミミズ・フライは、絶品さ
 おいしそう

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